餞別とは、主に転勤や退職、転校などの別れや新しいスタートに際して贈られるもので、「はなむけ」とも呼ばれることがあります。この二つの言葉はほぼ同じ意味を持っており、特に大きな違いはありません。他にも「送別の品」という表現が使われることがあります。
この贈り物は、これまでの感謝の気持ちや期待を表し、新たな旅立ちを応援する意味を持っています。しかし、日常ではあまり頻繁にあることではないので、その詳細やマナーは一般的にはあまり知られていません。そのため、餞別ののし袋へのお金の入れ方や書き方に困ることも少なくありません。
そこで、この記事では、餞別を封筒に入れる際の適切なお金の入れ方、のし袋の正しい書き方、そして返礼品の選び方について詳しく説明します。
餞別ののし袋やお金の正しい扱い方
餞別を贈る際に特に注意したいのが、のし袋のおよびお金の入れ方扱いです。
- のし袋の扱いにはどのようなマナーがあるのか?
- どのようにお札を入れればよいのか?
- 新しいお札を使用するべきか?
これらはすべて大切な、外してはいけないポイントです。
まずは概要から
最初に、扱いに注意が必要な各要件の概要から説明します。
のし袋
のし袋の表面には、餞別を渡す理由と自分の名前を書きます。
金額の決め方
金額は、その場や相手との関係によって変わりますが、無理のない範囲で心からの気持ちを表せる金額を選ぶのがよいでしょう。
お札を袋に入れるときのお札の向き
餞別を渡す際には、お札の向きに気を付けましょう。通常、お札は肖像画が上になるようにして入れます。
新札を入れる
新札を使用することが望ましいとされています。新札は清潔感があり、相手への敬意を表すことができます。
のし袋の閉じ方
のし袋の閉じ方にもマナーが存在します。のし袋はきちんと折って、お金が見えないようにします。テープやのりを使用せず、のし袋自体のデザインで閉じるタイプを選ぶと良いでしょう。これが難しい場合は、封をするためのシールを利用する方法もあります。
のし袋の書き方
のし袋の表書きと金額の書き方について説明します。
表書きの基本
のし袋には表書きとして、贈る理由を明確に書きます。「餞別」という言葉を用いることが一般的です。一方で、転勤や退職あるいは定年退職などで離れる人への餞別には、感謝や祝福の気持ちを込めたのし袋が欠かせません。
例えば、「御餞別」、「御礼」、「御退職御祝」などがケースにあわせて使われます。
金額の書き方
金額は、中袋がある場合は中袋の表面に明記します。中袋がない場合はのし袋の裏側に書きます。数字を書き、続けて「円」と記載します。数字は、旧字体、1万円は「壱萬円」、2万円は「弐萬円」、3万円は「参萬円」、5万円は「伍萬円」、6万円は「六萬円」、7万円は「七萬円」、8万円は「八萬円」、10万円は「拾萬円」のように漢数字を用いることが多いですが、場合によってはアラビア数字も使われます。
のし袋の渡し方
餞別は直接手渡しで、相手に感謝の気持ちを伝えながら丁寧に渡します。その際、「これからのご活躍をお祈りしています」といった言葉を添えると良いでしょう。
返礼品は必要か?
餞別を受け取った際の返礼は必須ではありませんが、通常は、感謝の意を表すために何らかのお返しをします。返礼品として選ぶと良いものには、日持ちする食品や実用的な日用品があります。また、お礼状を添えることで、感謝の気持ちをより具体的に伝えることができます。
餞別の品選び
餞別に品物を渡す場合、男性と女性という性別だけでなく、ご本人の好みなどによっても喜ばれるものが大きく違います。
以下に、これまで餞別として贈られることが多かった品物を男性と女性ごとに挙げてみました。
男性への餞別として適切な品物も、その人の趣味や好みに合わせて選ぶことが望ましいです。これまで好まれてきたものをいくつか紹介します:
男性への餞別の金額と品選び
職場で男性に餞別を贈る場合、その金額とどのような品物が適切か考える必要があります。
餞別の金額
男性への餞別の金額は、関係の深さや贈る場の状況によって変わりますが、一般的な目安をいくつかお伝えします。
- 親しい友人や同僚:5,000円から10,000円程度が一般的です。親しい間柄なら、相手に負担をかけない範囲で選ぶと良いでしょう。
- 知人やあまり親しくない人:3,000円から5,000円程度が適切とされます。あまり深い関係ではない場合は、控えめな金額を選ぶのが無難です。
金額を決める際は、相手が受け取りやすい額を考えることが大切です。また、地域や業界の慣習にも影響されることがあるので、その点も考慮すると良いでしょう。
餞別の品物
ビジネス関連の小物や趣味に合わせた品物が喜ばれるようです。
- 高品質の筆記具:ビジネスシーンで使える高級ペンは、実用的でありながら特別感があるため、男性への餞別として適しています。
- お酒:好みのお酒、特にウイスキーやブランデー、日本酒などの高級酒は、特別な贈り物として喜ばれます。
- 財布やカードケース:革製の財布やカードケースは実用的であり、長く使うことができるため、記念としても適しています。
- グルメギフト:高級食材や特産品など、食べることを楽しむ男性には、グルメなアイテムが喜ばれることが多いです。
- コーヒーまたは紅茶のセット:質の良いコーヒーや紅茶のセットも、日常的に楽しめる贈り物として喜ばれます。
- スポーツ関連グッズ :趣味がスポーツの男性には、そのスポーツに関連するグッズやアクセサリーが喜ばれることがあります。
相手の生活スタイルや趣味に合わせて選ぶことがポイントです。贈る品がその人の新しい門出や生活に役立つよう心がけると良いでしょう。
女性への餞別の金額と品選び
金額
女性への餞別の金額も男性の場合と同様に考えて問題ありません。
餞別の品物
女性への餞別として適切な品物は、その方の興味や好み、そして餞別を渡す場の状況によって異なりますが、これまで喜ばれてきた品物をいくつかご紹介します:
- 花:お花は一般的にどのような場面でも喜ばれるギフトです。特に華やかな花束や上品なアレンジメントは、新しい門出を祝うのにぴったりです。
- スイーツ:高級なチョコレートや季節の和菓子、洋菓子など、美味しくて見た目も美しいスイーツは、気軽に楽しめる餞別として適しています。
- ハンカチやスカーフ:実用的でありながらデザイン性の高いハンカチやスカーフは、日常で使える上に記念にもなるので喜ばれます。
- アロマ製品:アロマキャンドルやアロマオイルなど、癒し効果のある品物は、新たな生活を始める方へのリラックスを願う心遣いとして好まれます。
- ギフトカード:お店やサービスのギフトカードは、相手が自分の好きなものを選べるため、非常に実用的で喜ばれる選択肢です。
これらの品物は、女性への餞別として選ぶ際に失礼がなく、かつ相手の気持ちを考えた心温まる贈り物となるでしょう。相手の趣味や好み、関係性に応じて選ぶことが大切です。
あとがき
餞別は、相手への感謝とこれからの成功を願う気持ちを込めた贈り物です。生活の中で誰かが新たな道を歩み始めるとき、適切な餞別を選び、心をこめて渡すことが大切です。職場だけでなく、プライベートでも使う機会が増えているので、このガイドが役立てば幸いです。