概要
この記事では、バイトやパートの方が退職届を書く際の基本的な書き方やマナー、注意点を詳しく解説しています。「退職願」と「退職届」の違いをはじめ、手渡し・郵送・メールなど提出方法のポイント、退職理由の記載方法、円満に退職するためのコツを紹介しています。初めての方でも安心して準備ができるように、テンプレートや具体例も掲載しています。
退職届の基本的な書き方
退職届と退職願の違い
- 退職届は、退職する意思を最終的に伝える正式な書類です。提出後の撤回は原則できません。会社側は退職日や後任の手配を具体的に進めます。
- 退職願は、退職したいという意思を会社に申し出る書類です。会社が承諾するまでは撤回可能です。まだ決心が固まっていない場合は、退職願から始めるのが無難でしょう。
退職届に記載する基本情報
- 退職届には次の項目を明記しましょう。
– 提出日（実際に書類を提出する日）
– 宛名（会社名や上司の役職・氏名）
– 自分の氏名と所属部署
– 退職日（通常、最終出勤日）
– 退職理由（一般的には「一身上の都合により」と記載）
– 最後に署名と捺印
退職届の書式とフォーマット
縦書き・横書きどちらでも構いませんが、より正式で丁寧な印象を与えるのは縦書きとされています。A4サイズの無地の白い便箋やレター用紙を使用し、黒のボールペンや万年筆などインクの濃いペンで丁寧に記入しましょう。文字は読みやすくはっきりと書き、訂正や修正液の使用は避けることが望ましいです。パソコンで作成する場合には、ビジネス文書として標準的なフォント（例えば明朝体）を使用し、PDF形式で印刷後、署名と日付のみ手書きにすることで、正式かつフォーマルな書類としての印象を高めることができます。また、書類を折る際も折り目がきれいになるよう気を配り、封筒に丁寧に入れて提出しましょう。
退職届の提出方法
手渡しと郵送の違い
退職届は原則として、直接上司に手渡すのが望ましいです。まず口頭で退職する意思を伝え、その後に書面を渡しましょう。出社が難しい場合は郵送でも構いません。その際は退職届を封筒に入れ、丁寧な添え状を同封すると好印象です。また、郵便事故を防ぐために、書留など追跡可能な方法で郵送することをおすすめします。
メールでの提出
退職届は書面での提出が基本ですが、近年では会社の方針や状況により、PDF化した退職届をメールで送ることが認められる場合もあります。ただしメールで提出する場合でも、必ず事前に電話や対面で正式に退職の意思を伝え、その後、記録としてメール送信するようにしましょう。
提出先とタイミング
退職届は直属の上司に提出します。アルバイトやパートの場合でも、退職希望日の2週間前までには提出するのが一般的なマナーです。雇用契約書などで具体的な提出期限が指定されている場合は、それに従いましょう。また、可能な限り繁忙期を避けるなど、職場全体への配慮を行うことで円満に退職できます。
退職届を書く際の注意点
退職理由の記載
退職理由は「一身上の都合により」とシンプルに書くのが無難です。職場への不満や批判的な内容を記載することは避けましょう。具体的な理由を記載する必要がある場合でも、「家庭の事情」「学業専念のため」など、前向きで穏やかな表現を使うのが望ましいです。
マナーと礼儀
退職届は形式を守りつつ、これまでの感謝の気持ちを込めて書きましょう。文章は丁寧な敬語を使います。封筒は白無地を使用し、表面中央に「退職届」と記入し、裏面の左下に自分の名前を縦書きで書きましょう。
円満退職のポイント
円満に退職するには、感情的にならず冷静に計画を立てて行動することが大切です。突然の辞職や無断欠勤は厳禁です。引き継ぎをしっかりと行い、最後の挨拶を丁寧に済ませることでスムーズに退職できます。
退職届のテンプレートと例文
手書きとパソコン作成の注意点
- 手書きの場合は、黒色のボールペンまたは万年筆を使用し、丁寧に書きましょう。消えるペンの使用は厳禁です。
- パソコンで作成する場合は、明朝体などのビジネス向けフォントを使用し、見やすいレイアウトで作成します。作成後はPDF形式で保存し、印刷したものに署名と日付のみを手書きで記入します。
便箋と封筒の選び方
便箋や封筒は、白無地を選ぶのが基本です。派手な柄やキャラクター入りのものは避けましょう。封筒は長形4号または長形3号を使用し、封筒の裏面にのりで封をした後、「〆」マークを記載します。
退職届の例文
“`
退職届
私事、
一身上の都合により、
令和◯年◯月◯日をもって退職いたします。
令和◯年◯月◯日
アルバイト部門 店長 ◯◯様
◯◯ ◯◯（自分の名前）
“`
退職届は、簡潔かつ丁寧に書くことを心掛けましょう。
特別なケースの退職届
突然辞める場合の注意
体調不良や家庭の事情など、予測できない事態でやむを得ず急に退職しなければならない場合でも、まずはできる限り早急に電話やメールで職場の担当者や上司に事情を伝えましょう。この際、状況を丁寧かつ簡潔に説明し、迷惑をかけることに対するお詫びの言葉を添えることで、職場との信頼関係を保つことができます。その後、改めて正式な退職届を郵送または手渡しで提出し、誠意ある姿勢を示しましょう。退職届には、退職を余儀なくされた具体的な理由を「一身上の都合」と簡潔に記載し、書面上でも誠実さを伝えることが重要です。また、必要に応じて、引き継ぎや業務整理についても相談できる旨を伝えると、さらに丁寧で好印象な対応となります。
会社都合で退職する場合の注意
会社側の都合（店舗閉鎖や事業縮小、人員整理など）によってやむを得ず退職する場合は、退職届に必ず「会社都合による退職」と明記しましょう。これにより、退職後の失業保険の申請手続きがスムーズになり、給付開始までの待機期間短縮や給付条件が改善されるなど、有利になることがあります。また、会社側がこうした退職の場合に備えて専用のテンプレートや書式を準備している場合もありますので、自己判断で書類を作成する前に、必ず担当者や人事部門に確認し、適切な書式を使用するようにしましょう。さらに、会社都合退職の場合は証明書類の提出が必要になるケースもあるため、あわせて必要な書類や手続きについても確認しておくと安心です。
看護師や介護職など特殊な職種の注意点
看護や介護の仕事では、利用者や患者への影響が大きいため、一般的な職種と比べて早期の退職申告が求められることが多いです。利用者のケアや治療計画に支障をきたさないよう、引き継ぎのための期間を十分に確保する必要があります。職場ごとの就業規則に退職申告の時期が定められている場合が多いため、退職を検討した段階で速やかに確認しましょう。また、同僚や上司とも相談しながら円滑に引き継ぎを進めるためのスケジュール調整や業務内容の整理を行い、職場への負担をできる限り軽減する姿勢が重要です。
提出後の手続きについて
業務の引き継ぎについて
退職後には失業保険の申請、健康保険の切り替え、年金や住民税の手続きなど、複数の手続きが必要になります。離職票や社会保険の資格喪失証明書など、必要書類を事前に確認し、手続きをスムーズに進められるよう準備しておきましょう。また、退職後のスケジュールを早めに整理しておくことで、経済的・精神的な負担を減らすことができます。
退職後に必要な手続きと生活の準備
退職後は、失業保険や健康保険の切り替え手続きが必要です。雇用保険の受給資格がある場合は、離職票をハローワークへ提出し、手続きを行いましょう。また、年金や住民税に関する手続きも忘れずに済ませましょう。事前に退職後のスケジュールを確認しておくと安心です。
退職届の撤回
一度提出した退職届は原則撤回できませんが、会社側がまだ正式に承認していない状況であれば、状況次第で撤回が認められる場合もあります。もし、家庭や体調の事情が変わり退職を取り消したい場合は、できるだけ早く職場に連絡し、事情を誠実に伝えて相談しましょう。
転職活動と退職届の関係
次の職場への退職理由の伝え方
次の職場へ退職理由を伝える際は、できる限り前向きで具体的な表現を用いましょう。「キャリアアップのため」「新たな環境でスキルや経験を活かしたい」などの前向きな動機を伝えることで、相手に良い印象を与えることができます。前職の不満や批判的なコメントは避け、どのようなことを学んだのか、どんな成果や経験を積んだのかを具体的に伝えることで、あなたの誠実さや積極性が伝わります。
求人情報の活用方法と応募準備
求人情報を探す際は、ハローワークや求人情報サイトのほか、SNSや知人からの紹介など、複数の方法を積極的に活用しましょう。また、求人内容をよく確認し、自分の希望条件に合致するか慎重に見極めることも重要です。応募する際には履歴書や職務経歴書を事前にしっかりと準備し、自己PRや志望動機などの記入も丁寧に行いましょう。応募前に誰かに添削してもらうとさらに安心です。
転職活動を始めるタイミング
転職活動をスムーズに進めるためには、退職前から余裕を持って始めることが重要です。現職を続けながら転職活動を行うことで、収入が途切れる期間を最小限に抑えられ、精神的な負担も軽減されます。求人情報の収集、面接日程の調整などを早めに行い、退職日と次の職場への入社日をスムーズに繋げられるよう計画的に活動しましょう。また、面接や入社試験に向けて十分な準備期間を確保することも、より良い結果につながります。
退職届にまつわるよくある疑問
退職届を提出しないリスクとは？
退職の意志を口頭だけで伝えると、証拠や記録が残らず後々トラブルになる可能性があります。特にシフトの調整や給与計算、社会保険や雇用保険の手続きなどで問題が生じる場合が多いため、退職を希望する際は必ず書面で提出しましょう。また、書面で提出することにより、自身の退職意思が明確になり、トラブルの予防にもなります。書面を提出した証拠としてコピーやメール送信履歴などを保存しておくこともおすすめです。
提出困難な場合の対応
職場から退職届の受理を妨害されたり、圧力をかけられたりする場合は、自分だけで解決しようとせずに労働基準監督署などの公的機関へ早めに相談しましょう。また、退職届の提出を記録に残すために、内容証明郵便を利用して会社に退職意思を通知する方法も有効です。内容証明郵便は提出日時や文書内容が正式に記録されるため、法的な証拠としても役立ちます。
退職届の不備と対策
退職届に日付や宛名、署名などの記載ミスがあると、会社から再提出を求められる場合があります。特に退職日や提出日の間違いは、給与計算や手続きに影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。書類を提出する前に必ず内容を慎重に確認し、間違いがないかを確認しましょう。また、自分だけでなく第三者（同僚や家族など）にもチェックしてもらうことで、客観的にミスを発見しやすくなります。
退職届提出時の心構え
上司へのコミュニケーション
退職の意思は直接対面で伝えるのが理想です。退職を決めた理由を簡潔かつ丁寧に説明し、今までの指導やサポートへの感謝を伝えることで円満に退職することができます。また、退職について話すタイミングを選び、上司が忙しくない時間帯を見計らうなどの配慮も重要です。
引き継ぎ準備
退職に伴い担当している仕事を整理し、進行中の業務内容やプロジェクト、重要な資料などを分かりやすくまとめておきましょう。ファイルの整理や情報の整理を丁寧に行い、業務内容や注意点などを文書化して後任者に引き継ぎやすい環境を整えることで、自分自身の評価にも繋がり、職場への迷惑を最小限に抑えることができます。
会社への感謝の伝え方
短期間の勤務であっても、退職時には職場や同僚に対する感謝の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。「短い期間でしたが、多くのことを学ばせていただきました」「ご迷惑をおかけしますが、お世話になり感謝しております」といった具体的な感謝の言葉を添えることで、職場との関係性を良好なまま維持することが可能です。また、退職後も良い関係を保つため、感謝の意を述べたメールや挨拶状を送るとより丁寧な印象を与えます。
